月: 2023年9月

  • 学振・特別研究員(DC1, DC2)申請書をもっとより良くするために [2024年度DC採択者経験談]

    2023年9月27日水曜日 14:00に学振 DC1, DC2の採択者の発表がなされました。

    僕も申請した学生の一人であり、無事採用内定を取得することができました。
    今年度の学振の採択率は例年よりも低いことがX (旧Twitter)で流れていました。

    採用内定は14%ほど、二次採用も含めると17%とのことでした。

    例年20%近くあると聞いていたので、採択率を見たときに「マジか・・・」と思いました。

    今回の学振ですが、いろいろな人の学振の申請書を見たり、自身の申請書を書いたりし、その中で申請書で少しでも採択率を上げるために気をつけるべきことをまとめてみます。

    学振のみならず、申請書、ES、など人に見せる文章を書くときにも参考にできると思うので、ぜひ読んでいってほしいです。

    気をつけるべき点は申請書のその先

    まず、申請書を書くうえで重要なことは、自分の言いたいことを限られたスペースで伝えることです。

    申請書とは、自身の研究を説明し、人に重要さを主張すること、私はどのような人で、どのようなことができるため、この目標を達成することができる。だからお金をください。

    と言うように、書いたその先に何があるのかを見越す必要があります。

    申請書を書いていると、いい文章を書くこと、先生に文句の言われない文章を書くこと、など目先のことにとらわれ、”申請書”と言うものの本質が頭から抜けてしまうことがあります。

    ただの自己満足ではなく、読み・評価する人がいて、それを元に採点されると言うことです。
    そこは明確にテストなどと異なり、だからこそ正解というものがありません。

    これまで、解答のあるテストなどを行ってきて、急に申請書にぶち当たると、一体何を書けばいいのか、何が正解なのかがわからなくなる人が多い印象でした。

    書いている最中も、申請書は誰のために書いているのかということを忘れずに、書く必要があります。
    そのために、学振前に幾つか別の機関の申請書を書いて、人に見てもらうということをしてもらっていると、それだけでかなり申請書の読みやすさが異なってきます。

    キーワードは”論理性”と”具体性”

    論理性

    僕が学振を書くときに最も気をつけたことは、論理性と具体性です。

    論理性とは、主張が一貫し、それぞれの話題がつながっていることです。
    つながりは、文同士、パラグラフ同士、申請書全体などさまざまなスケールで考える必要があります。

    もっと実感に基づいた言い方をすると、
    論理性のある文章とは、読み手が知りたい順に知りたい内容が記載されている文章です。
    これがしっかりできていると、読み手が読んでいるときにスッと内容が入ってきます。

    あくまで聞きて主観で考えるということ。
    自分がいかにこれは論理が通っていると言っても、相手にはその論理が通じないかもしれない。

    学振の書き方やテクニックなどで、「すなわち」「以下に詳細を述べる」などの文言を入れた方がいいということが書かれていますが、その本質は相手に文章のつながりを容易に理解してもらうためのガイドを示すということです。

    こう言った文言が必要か否かに関しては、人によって意見が大きく異なるところですが、言えることとしては、入れずに文章構造がわからなくなるのであれば、貴重な文字数を使ってでも入れるべきであるということです。

    具体性

    具体性とは、言葉通り、読み手が必要な分だけの情報が記載されているということです。

    よく申請書や研究発表で
    「私の研究は前提となる情報が多いから短くまとまらない〜」
    という言葉をよく聞いたことがあると思います。

    僕自信、10分の学会発表とかで、10分で終わるわけないやんとよく思ったものです。

    しかし、自信を持って内容を詰めた発表でも、聞き手にとってはいらない情報がたくさんあり、知りたい情報はほとんどなかったということがよくあります。

    つまり、内容の取捨選択ができていないのです。

    内容の取捨選択をする上で、自分自身が最も伝えたいことは何かを決めます。
    そして、その本質の説明に必要なものは残すこと、本質の理解にいらないものは捨てることで具体性を持たせることができます。

    学振などの申請書は本当に短い文章量で研究や自身のことを語る必要があります。
    よく学振でもらえるお金を申請書の文字数で割った金額を算出して、一文の価値を計算してみろ と言われます。

    この文章にはそれだけのお金の価値があるのか!ないなら変更するべきである。
    という観点を持ってほしいという意図でこの言葉を言っているのだと思います。

    研究の背景説明は第三者目線からの説明であり、自分の説明を際立たせるために必要ではあるが、その文自身は人の研究であるため価値は低いと言えます。
    最小限に収めるのか、別の価値を見出すのか、考え方はそれぞれだと思います。

    そうやって推敲し、内容が洗練させていきます。

    ここまで、具体性と書きながら、内容を削る話しかしてませんが、要は内容を詰め、一文の具体性を過不足なく高めていくということが重要になってきます。

    申請書はこの論理性と具体性を常に頭に入れつつ、時々立ち止まって読み直して、書き直すという作業をずっとやっていました。

    早めに人に見せること

    そして、申請書で最も重要な点の一つに、申請書を早めに人に見てもらうことというのがあります。

    一旦完成してから、自身が納得してから、と言って申請書締切1週間前になって見せてくる人がいますが、正直それは勿体無いです。

    人に見せるということは、自分自身が進んでいる方向性が正しいかどうかを確認すると同時に、意見をもらうということです。
    修正ではありません。

    学振をどれだけ人に見てもらったかで学振の出来が変わるとよく言われるように、新たな気づきや根本的な考え方などが変わったりします。

    理想は3週間前には担当教員以外の他の人に見てもらうのを目標にしましょう。

    申請書に向き合い続けない

    申請書を書く期間になると、実験も惜しんで申請書に向き合っている人をよく見ました。
    確かに、ある程度時間をかけなければならないものですし、何回も推敲を重ねるため、膨大な時間が必要になります。

    ただ、ある程度描き終わってからもただひたすらに申請書を読み返して、無意味に時間を過ごす必要はありません。
    むしろ、推敲前にはある程度時間を空けてから読む必要があります。

    申請書は人生がかかっている重要な書類です。
    しかし、かけた時間に比例してよくなるものではなく、いかに効率よく最善のものを作るのかという勝負です。

    パソコンに貼り付けにならず、ある程度実験を進めたり、なんなら気分転換をしながらかくと、冷静な視点で書くことができます。

    僕は大学だけではなく、パソコンをカフェとかに持って行って場所をよく変えながら書いていました。

    最後に

    本年度の内定採択率は一次選考地点で14%ほどと言われています。
    逆にいうと、申請した86%の人が学振に採択されなかったということです。

    採択されない人が大多数なので、そもそも採択されなかったことに必要以上に落ち込む必要はありません。

    また、学振に採択された人は、多くの人の夢や生活を押し除けて自分自身が採択されたということになります。
    それ相応の研究に対する評価はもちろん現状ではあるが、それ以上にこれから人一倍頑張るという責任が伴います。

    僕自身も戒めとして、今後も研究を頑張っていきたいです。

  • 生物系の論文の検索方法[大学院生編]

    研究室に配属されると、研究室でジャーナルクラブという論文紹介を行いなさいという機会が少なからずあると思います。

    ジャーナルクラブの形式はラボによって多様ですが、自分で論文を調べて自分で読んで、発表しなさいとなるパターンも多くあるでしょう。
    ジャーナルクラブでなくても、そもそも研究をするには先行研究を知るということで論文検索をすることが多くあると思います。

    そこで活躍するツールを紹介してきたいと思います。

    Google Scholar

    まず初めに紹介するのはGoogle Scholarです。

    研究者ならば知らない人はいないというぐらい有名なツールとなっています。

    基本的にはGoogleで検索するのと同じ感じで検索できるのですが、出てくる項目は全て論文、本などの文献データです。

    とりあえず大雑把に論文を調べたいときに使うので、最も論文検索で使われるのではないかと思います。
    僕も、とりあえず調べるときはGoogle Scholarを使って適当なキーワードを入れて検索し、スクリーニング的に調べています。

    大雑把に調べることができる反面、詳しく指定できることは少ないです。

    論文が出された期間、関連性、などの主要なものはあるので、ほとんどこれで事足ります。
    また、論文雑誌を指定したいときとかは、そもそもキーワードに雑誌名を入れちゃったりと本当にGoogle検索と同じ要領です。

    PubMed

    次に紹介するのはPubMedです。

    PubMedは生物系の論文検索ツールとしては最も有名だと思います。

    このツールのすごいところは、論文の検索方法の種類の多さです。

    筆者や論文雑誌、エディターなど、本当に思いつく限りの検索方法を行えます。

    論文雑誌が決まっているときや著者、その他検索したい内容が詳細に決まっている時にはかなり有用なツールとなっています。

    Web of Science

    最後に紹介するのは、Web of Sciecnceです。

    基本的には有料ですが、大学に所属する人であれば、基本的に大学のwifiなどからアクセスできるので学生は無料で使えます。

    このツールが最も効果を発揮するのは、インパクトファクター(IF)と呼ばれるものを調べられるという点です。

    IFとは、ジャーナル誌のランクづけみたいなもので、どれぐらいそのジャーナルが強いかどうかを示す値です。

    Googleでも「ジャーナル名 IF」と調べると、インパクトファクターは出てきますが、正式な値ではないことが多いです。

    Web of Scienceは正式にIFを出しているところなので、正いIFを知ることができます。

    僕は、投稿しようとする論文誌を決めるときとか、先生の論文がどれぐらいすごいかを知るために、IFを調べるツールとしてWeb of Scienceを使っています。

    最後に

    基本的には、Google Scholarが頻繁に使うのですが、他のツールも知っておくといざ何かで調べたいという時に便利です。


  • 人生初の脱毛を韓国で!!

    髭脱毛は日本で受けると非常に高いと思います。
    また、何度も通わなければならないというのが、ちょっと痛い点ですね。

    美容大国である韓国では脱毛自体は日本よりもかなり安く受けることができるとのことで、これまで脱毛をしたことなかったのですが、初の韓国旅行で、初の脱毛を行うことにしました!!

    脱毛までの手順および料金

    江南区にあるパーソナルビューティー・GU医院というところで脱毛を行いました。
    予約はスマホアプリのカンナムオンニを使いました。

    リンクはこちら

    カンナムオンニを使い、ソウルで男性の髭脱毛を調べていたのですが、他に男性の髭脱毛を行っているところが1つか2つしかなく、選ぶのには困らなかったです。

    値段は予約時には、顔全体5回施術で500000ウォン(日本円で約50000円)でした。
    安い!!!

    前前日に予約をしようと、アプリでオンライン相談を申し込みました。

    オンライン予約を押した途端に日本語でメッセージが送られてきます。

    韓国語をアプリが勝手に翻訳してくれているようで、オンライン予約を取るのには言語の壁は全く感じませんでした。
    一応メッセージでは、やり取りが難しい場合には翻訳機を使ってやり取りを行うということで、外国人対応は親切にしてくれそうな雰囲気がありました。

    そんなこんだで、予約をとっていざ当日クリニックに向かいました。

    https://maps.app.goo.gl/FjLBboA6a7Dvu6TT8

    とりあえず向かうと、日本人も何人かいてちょっと安心しました。
    最悪何かあったら、誰か助けてくれる。。。?笑

    一応予約したことを受付の人に伝え、待つ様に言われ、椅子に座って待ってました。

    しかし、予約の時間に行ったのにも関わらず、2時間ぐらい待たされて、やっと呼ばれて謎の個室に連れて行かされました。

    そこで、お医者さんらしき人から翻訳機を使って説明を受けて、お金を支払いました。

    その後、10分ぐらい待たされた後に、奥に連れて行ってもらいました。

    そして、看護師さんから顔に麻酔を塗りますといわれ、アルコールスプレーみたいものから出る液体を顔に塗られました。
    (ちょっと甘い匂いがしたので、多分本当に麻酔なのでしょう笑)

    しばらくすると顔全体がちょっと引き攣った感じになって、麻酔が効いてきたのかなって思った頃に若めな男性のドクターに呼ばれて施術室にいきました。

    そこで、レーザーを当てられました。
    麻酔をしていたせいなのか、ヒゲの濃いところ以外はほとんど痛みはなく、髭が濃いところもちょっとだけ痛いだけでした。
    脱毛の日本で聞いていた評判とは違ったので、麻酔を使うというのがやはり日本と違うところなのでしょうか。

    ただ、やたら焦げ臭く、ずっと風を当てられていました。
    日本よりもレーザーが強いのかなーと思いながら思考に耽ろうとしたところで「終わりましたー」と言われました。

    普通に体感30秒ぐらいで、めっちゃ速いやんって思いました。

    その後、顔を洗って帰り韓国旅行を楽しみました。

    後日の効果

    1週間ぐらいはほとんど何もなかったのですが、2週間目になるとなんか髭が一部薄くね?ってところが出てきました。
    薄いってか、一部生えてないという表現が正しいと思います。
    普通にびっくりしました!

    効果はちゃんとしっかりしているっぽいですね!

    あと4回その医院に行けるとのことで、1ヶ月半~2ヶ月周期できてくださいとのことでした。

    行ける時に、行こうかなーっていう気分で韓国旅行のついでにこれからいきたいと思います。

    総評

    やたら待たされたこと以外は全くの不満はなく、やり取りが辿々しくはありつつも翻訳機という最強の武器があるので、困っても無事解決できました。

    やたら待たされたことに関して口コミに書くと、医院からの返答で、申し訳なかったというメッセージと、平日であればそういうことはあまりないから今度から平日に来るといいよ!と言われました。

    次回以降は平日に行こうかな。

    体験としても結構面白く、ぜひ韓国脱毛チャレンジしてみてください。

  • 人生で初めて論文を書いた (体験談)

    研究者にとって論文を書くというのは、とても重要なことであり、研究を世に報告するための作業です。

    論文を書く作業は想像以上に時間がかかり、地味であり、根気のいる作業です。
    だからこそ、最初に自分で書いた論文は自分の中でも印象深いものになります。

    僕自身も、M1で指導教員の指導のもと、一から自分で論文を書くことを経験しました。
    分野にもよりますが、生物学の分野において、修士の学生で、自分で論文の文章を書くことは非常に珍しいことです。
    そもそも論文すら出ないというのが普通ですから。

    レアな経験をさせてもらったことに感謝するとともに、その時の気持ちを忘れないために体験をここに綴りたいと思います。

    論文を書くタイムスパン

    生物学の分野では、論文を書こうと思ってから、実際に論文が掲載されるまでに大体一年かかります。
    論文の形式や規模感にもよりけりですが、化学や工学の分野と大きく異なるのは、論文の内容の多さだと体感しています。

    物質の発見やタンパク質の発見とは異なり、僕が研究している神経行動学という分野は、「この神経がこの行動にこの様に関わっている」というように証明するため、図の数(一つの図の中にグラフが複数あります。)が5を超えることはザラにあります。

    だからこそ、それだけのデータを集め、論文を書き、出版されるまでには他の分野以上に時間がかかると言われています。

    論文投稿までにかかる大体のステップを下に書きます。

    • 原稿を書く(1ヶ月~1年以上)    原稿を書くのはさまざまなことが起こりうるため、実際に順調に行かないことも多々あります。
    • 原稿を人に見てもらう(1ヶ月~3ヶ月)    あったりなかったりですが、お世話になっているその研究には関わっていない人に、読んで内容がわかるかを見てもらう。
    • 英語の校正(約1ヶ月)
    • 論文投稿!!!(Submission) (2日~4ヶ月以上)    リジェクトは2日で帰ってきたりすることもあり、逆にレビューに回ると数ヶ月音沙汰ないこともあるそうです。
    • リバイス対応 (1ヶ月~6ヶ月)    レビュワーからコメントをもらい、足りないデータや内容の修正を行い、再度ジャーナルに送り直します。リビジョンはメジャーリビジョンとマイナーリビジョンとあり、論文の大きな構成が変わる様なことを言われることも多々あります。
    • アクセプト!!!(Accept)    リバイスの対応ができ、ジャーナルからOKが出たら無事アクセプトとなります。ここまで行ったらやっと成果として認められます。
    • 論文掲載に向け体裁を整える(1週間~1ヶ月)   論文がネットや雑誌に掲載されるための体裁の整えなどの最後の仕上げ作業になります。
    • 論文の出版、プレスリリースの作成などなど、、、、    アクセプト後は色々なことがどんどん起こり、忙しくなります。

    論文を書いて、ボタンを押せば出版されるわけではなく、論文はさまざまな人に評価され、論文が論理的に正しいかを第三者の目で見て、認められ、世の中に出版されます。

    僕の体験談

    まず初めに、出版された論文がこちらです。

    4年生で卒論発表を行ったあと、2月の終わり頃に指導教員から論文を書きましょうと提案されました。

    そして、3月から論文を書き始め、12月にジャーナル誌のiScienceに投稿、4月に正式にアクセプトされました。
    論文を書こうとなってからちょうど一年ほど経って出版されるという、非常に順調な論文投稿でした。

    論文を書こうと言われた3月は非常に嬉しく、なるべく早く書いてやろうと意気込んでいました。
    ただ、書いてきてくださいと言われるが、どの様に書けばいいのか全くわからず、とりあえず論文を調べて見様見真似で自分の内容を書いていきました。

    しかし、僕は英語が苦手であるのも相まって、わからないから修正してください。と言われながら修正を続けました。
    ここで、修正したものを送ってくるわけではなくて、ここがわからないから書き直してくださいと言われたのは、当時は本当に辛く、教えてくれよと思う経験でしたが、今となっては自分で書き方を調べて、考えたからこそ、今に生かされているなと感じました。

    先生から言われたのは、研究者を目指すのであれば今後論文を書く機会はいっぱいあり、その時に書けなくなるので、自分で書いてください。と言われました。

    ただやはりきついものはキツく、夏頃はご飯も食べられず、胃腸が弱りきっていました。
    (個人的に文章書くだけなのに、なんでストレスなんだろうって疑問に思うぐらい不思議ですが、体には応えていたみたいですね。)

    なんでここまで辛いのかというと、論文を書いている期間は基本的には実験をやらずに論文を書くことに集中しています。
    ただ、学会があったり、授業や私生活など多くのことが押し寄せてきます。

    論文でうまく行っていないし、実験も進んでないので何も今はしていないのではないかと思えてきます。特に周りが進んでると。。。
    半年に一回あるラボの進捗報告会でも一人だけ全くの進捗がないことの焦り。

    そして、極め付けは誰にも相談できないという環境でした。
    M1で論文を書くというのはイレギュラーであり、他の人からしたら羨ましいことです。
    だからこそ、論文の話題で相談できる相手が研究室におらず、研究に携わっていない人には、文章を書くだけだしと思われるため、理解されずで一人ぼっちでやらなければならないという感覚になりました。

    9月ごろ、どうしても辛くプログラムベースの研究を気晴らしにちょっと進めており、国際学会に出すようの小さい論文を書いていました。
    それが僕的に結構いい気晴らしであり、研究が進まないという不安が軽減されるとともに、小さい論文なので論文も書きやすく、自分の成長を感じられたとともに成功体験という意味で自信になりました。

    そしてそんなこんだで、10月ぐらいには大体の原稿を書き終えました。
    そこで、提出だと思っていたら、先生から
    「他の先生にも見てもらいましょうか!」と言われ、
    「ええええ!!!!????終わりじゃないの????」
    と思ったことは今でも記憶に残っています。

    見てもらった先生からは、非常に的確なアドバイスをいただき、論文が非常に良くなりました。
    論文原稿を人に読んでもらうというのは、非常に重要なプロセスなんだなと体感し、それは論文だけでなく、研究全般に言えることだなと体感しました。

    そして、12月に最初の提出(Initial Submission)をiScienceにしました。

    iScienceは論文雑誌としては、すっごいランクの高いところではないですが、でもランクが決して低いわけではなく、博士論文なども掲載されるぐらいとてもいいジャーナルです。

    僕的には挑戦の枠組みとしてiSicenceを選択しており、7:3で通らない:通る と考えていました。
    なので、リジェクトの連絡を待っていたら、全然連絡が来ず、一週間後ぐらいにレビューに回った報告を受け、非常に嬉しく思ったのと同時に驚きでした。
    指導教員も驚きだった様です。

    そして、レビューのコメントに答えた後、提出し、細かい修正後、正式にアクセプトされました。
    提出後は結構流れに沿う感じで、すんなりといきました。

    個人的には、最初の提出の段階が一番テンションが上がり、かつ達成感のある瞬間でした。

    論文を書くという工程をいかに自分が安易な考えを持っていたのかを実感するとともに、論文を書くという作業はその後の研究の非常にいい経験になることを感じました。

    研究者になりたいのならばまず論文を書け!と言われる所以は、成果などではなく、論文を書くという工程が、自身の研究論理立てて、先を見越し、論文を書くという視点を持って進めていくことの重要性を教えてくれました。

    さまざまなことを学んだ経験であり、自分の研究者人生の最初として、とてもいい経験ができたと思います。

    また後日どの様に論文を書いていったかという、より実務に特化した内容もブログで更新していけたらなと考えているので、楽しみにしておいてください。

  • なぜハエが研究に使われているの?

    モデル生物とは

    研究でよく使われる生物というとみなさんマウスやモルモットが思い浮かぶと思います。
    薬の効能を調べたり、構造を調べたりするのにこれらの動物で検証してから、実際の臨床実験に移行するというイメージだと思います。

    そのイメージは間違ってはいないのですが、他にも研究で使われる生物はたくさんいます。
    メダカ、ゼブラフィッシュ、線虫、大腸菌、酵母、キイロショウジョウバエ、アフリカツメガエル、シロイズナズナ、カイコなどなど。。。。
    これらの生物はモデル生物と呼ばれており、様々な研究が行われています。

    モデル生物とは、その生物を徹底的にみんなで調べることによってその生物を知り尽くし、他の生物に共通する部分や原理の理解を行おうという生物たちです。

    キイロショウジョウバエとは

    このラインナップを見て意外な生物がいくつかいると思いますが、その中でもキイロショウジョウバエはかなり異質だと思います。
    え?ハエ???あの家に出てくるやつ???

    そうです!
    キイロショウジョウバエの学名はDrosophila melanogasterです。
    様々なノーベル賞の研究に関わっており、広く研究に使われています。

    ハエの研究者が集まる日本ショウジョウバエ研究会(JDRC)をはじめ、アメリカやヨーロッパ、アジアなどでもハエの研究の学会があり、さらにはショウジョウバエの神経系のフォーカスしているNeuroFlyやNeurobiology of Drosophilaなど世界規模で研究が行われています。

    ハエの研究のメリットは
    ・中枢神経系を持っていること
    ・遺伝学ツールの豊富さ
    ・バランサー染色体の存在
    ・世代時間が短いこと
    ・飼育のしやすさ
    ・決まった行動パターンを示す

    などなど、たくさん挙げられます。
    世界中の研究者がキイロショウジョウバエという対象を研究することによって、大量のデータベースが作られており、脳では神経細胞と神経細胞のつながりのネットワークほとんど全てわかっています。

    ここまでくると、研究でやることないのでは?と思われるかもしれませんが、確かに神経の繋がりはわかっていますが、それがどのような機能を持っているかはわかっていないことが多いです。

    さらには、免疫系や発生などのパターンに関しても、そこにどのような分子が関わっているのかなど、わかっていない問題が大量にあります。

    ここまでやって何になるの?と思うかもしれませんが、ここまでやるからこそ、生物に普遍的な原理を見つけ出したりすることができるのです!
    これがモデル生物です。

    そして、これらの機構は薬の開発や安全な遺伝子組み換えなどに応用することができます。

    ショウジョウバエ研究の歴史

    1901年になんか有名な人(チャールズ・W・ウッドワース氏)がある人(ウィリアム・アーネスト・キャッスル氏)に遺伝学の材料として勧めたのが始まりとされてるらしいです。
    理由としては、大量飼育が簡単にできるから。とのことです。

    その後、トーマス・ハント・モーガン氏がショウジョウバエを使った遺伝学の研究で有名になります。突然変異体の発見や、遺伝子が染色体状にあることを証明したことなど、遺伝学に大きな影響をもたらしました。

    その後、発生に大きな影響を与えるホメオティック遺伝子の発見が重要な発見として挙げられます。
    さらに、時計遺伝子の発見にも大きな影響を及ぼしました。

    大量に飼育でき、昆虫であり、変異体を簡単に作成できるという利点は他の生物にないメリットであり、だからこそ遺伝学の研究の材料として非常に秀逸なものでした。

    現在では、GAL4/UASシステムの応用、バランサー染色体などが作られ、多様なツールも整備されてきています。

    追加話

    ショウジョウバエの研究をしている研究室では、バイアルと呼ばれる直径3センチ、縦が10センチぐらいの円柱で飼育しています。
    そして、そのバイアルが大量に置かれている飼育部屋と呼ばれる部屋が大体あります。

    ハエが汚いのでは?と思う方もいると思いますが、餌は酵母の入ったゼリーのようなものであり、生肉等をあげているわけではないので、菌が増えるといったことはありません。

    生命力は割と強く、比較的簡単に飼育できます。
    だからこそ、長く研究されてきているのでしょう。

    解剖等をするときは、実体顕微鏡を使って、ピンセットで手作業で行います。
    長さが2.5mmぐらいのハエをピンセットで解剖します。

    行動実験もすることができ、工夫の凝らされた装置で様々に研究が行われています。

    また、ハエの素晴らしいところは世界のいくつかの場所にストックセンターがあり、そこにはどこかの研究室で制作した特定の遺伝子操作を施したハエがたくさん飼育されている場所があり、そこから欲しい系統を手に入れることができます。

    なので、自分自身でハエの系統を作る必要がなく、すぐに実験を開始することができます。
    (自分で遺伝子を操作しようとすると3ヶ月以上はかかります。)
    まさに、巨人の肩の上に立つですね。

    ショウジョウバエの研究を始めると、他の生物の研究ができなくなると生物学者は言っており、ショウジョウバエは研究に適している生物であることを物語っています。